INDEX■
GUNDAM-00■


5話まで
10話まで
15話まで
20話まで






・展開が速くなっておもしろくなったのは
 おおいにけっこうなことだ。毎週楽しみ度が上がってきてるな
 └その反面いじるとこが減ったのは否めません。予想もはずれるし
  おもしろくなって書きづらくなったというのは皮肉ですね
  └SEED DESTINYのときわーサイゴまでかけたのにねー
   └なにが言いたいんですか!?




○22.トランザム

○キャラクター
●刹那・F・セイエイ
「『トランザム・システム』……? これが……トランザム!」
・トランス・AMシステムとしか読めませんが
 └あえてトランザムと読むのが刹那流なんだ。きっとそうだぜ
・っていつの間にか模範的ガンダムマイスターにされていますよ!?
●ティエリア・アーデ、ロックオン・ストラトス、アレルヤ・ハプティズム
「あなたは愚かだ……!」
「どういう意味だ?」
「さあ?」
・これ女性キャラだったら『ばか……』っていうセリフなだけですね?
・サーベルの粒子で目が治らないとかいう追い打ちはないんですね
 └死ぬんだし必要ないんじゃない
  └てめえ!!
・アレルヤくん、なんだかこのところずっと弱気だ
 └慎重と言ってください
  └そのくせどたんばであきらめが早いぞ!
   └マイスターとして罪の意識がいちばん強そうだからねえ
●スメラギ・李・ノリエガほかトレミーのみなさん
「なにが?」
「はあ、鈍感」
「やさしいんだ、だれにでも……」
「刹那。答え、出るといいわね」
・みんなどんどん仕事しなくなってるような
 └スメラギさんの『あまり役に立たないかもしれないミッションプラン』
  ってこういうとき具体的になに書いてあるんですかね
  └『まずあなたが降りたころ、スローネアインを始末したツヴァイが
   ドライを襲ってるから横から飛びかかってね』
   └スメラギさんすげえっ
●ラッセ・アイオン
「エクシアが……紅く……!」
・サーシェスの攻撃をかわした! すごいぞ
 └やっぱマイスター候補とかだったんじゃないのかね?
●沙慈・クロスロード
「やられちゃえよ、ガンダム……!」
・今期はもうこの状態で終わりかなあ。哀しいな
 └かれに関しては急ぎ足でやられても困るからな
  └どうなってしまうんでしょうね
●王留美
「よろこんで……と言いたいところですが、すこし遅かったようですわ」
・これでリューミン←→サーシェスのラインができる!?
 └こいつは思いつかなかったな
●ヨハン、ミハエル、ネーナ・トリニティ、ハロ
「あたしもスイーツ食べたいー!」
「兄貴にゃ悪いが、おれは出し惜しみなんかしねえぞ!」
「ばかな……わたしたちは……マイスターになるために
 産みだされ……そのために! 生きて……!」
・とうとう『初めてガンダムを撃墜された』という不名誉な肩書きが
 追加されてしまったヨハン兄
 └しかもその挽回の機会も永遠に……!
・ミハ兄……死んだから言うわけじゃないけどけっこう好きだったよ
・ネーナはハロもいるしもうちょっとひっぱるわけね
 └あっさり死ぬだけじゃいけませんね。サジとドラマを期待したい
●グラハム・エーカー、ビリー・カタギリ
「わたしはガマン弱い……」
「わかってるよ」
・ああ、太陽炉はつけるんだ……
 └それってフラッグでやることになるんですか!?
  └なんか首だけフラッグにしたGN−Xのネタ画像を思いだすな
●セルゲイ・スミルノフ、ソーマ・ピーリス
「密集隊形っ!」
「そんな稚拙な攻撃がっ! 当たるものかああ!!」
・強い! これでオールレンジ攻撃できるようになったら
 どうなってしまうんだソーマくん
 └ハイパーピーリスかあーっこいいー
●マリナ・イスマイール
「あの機体は……刹那のじゃない……!」
・ほっとしてるんじゃねえええええええ
●アリー・アル・サーシェス
「ご臨終だ……!」
・すばらしい狂犬キャラ
 トリニティがかませになるとは思ってましたが噛むのがこのひととは
 └次回、遠慮なく猛威をふるってもらいたい
  └機体がスローネツヴァイってのがものたりないですね
   次回を生きのびたら太陽炉積み替えた最終MAとかで!
   └好きだな、最終MA
●アレハンドロ・コーナー、リボンズ・アルマーク
「はっはっはっはっはっは……! リボンズ、これは!?」
・何百年用意してきて、さいごのさいごで気がゆるんで詰めを誤った男
 └なんかあったときの対策ぐらい立ててるに決まってるのにな
  └みんなも目的達成瞬間の気のゆるみには気をつけようね!
●イオリア・シュヘンベルグ
「ソレスタルビーイングのためではなく、きみたちの意思で。
 ガンダムと、ともに──」
・やっぱ生きてた!
 └と思った瞬間死んだ!
  └しかもけっきょくイーヒトらったー
○メカニック
●ガンダムエクシア
・ああまた別カラーのプラモやトイがこれで
 └ほかに言うことはないのかよ!!
  └マキシマムスパイダーですか?
   └ぜんぜん疲れてるようすとかなかった刹那はすごいな
・ほかの3機のトランザムはどうなるんですかね
●強襲用コンテナ
・名前地味っ!
・GNアームズは持ちこしか……不意打ちだったな、トランザム
 └予告でデュナメスが装備してたように見えますよ
・ところでカレイド? カレル? という名前が出てきましたね
 修理の話だったからハロボディのことでしょうか
●GN−X
・こう書いてジンクスみたいですね
 └名前はこうなのに、GMやダガーとはちがって強いのがやばいな
  └カスタム化とか追加装備とかまだかなあ
○総評
・ここ3話ほどで各要素が一気につながってきて満足です
 └そのために役目を果たしてくれたトリニティ兄弟よくやった
  └わかってはいたけど、かわいそうでした
・もうノンストップで最終回まで突っ走る展開かな。楽しみだな
●次回予告
 世界を、ひとの意識を変えたかった……
 だが、その想いに反していまは叫ぶ
 次回『世界を止めて』
 絶え間ない慟哭が、漆黒の宇宙にこだまする

 ・まずはマネキン大佐が刹那のところに来そうだが、さて
 ・中佐逃げて! そいつに関わっちゃだめだ!
  └ほんと出会ったやつ全員危険だよ……



・今週更新を急がずに、いつ急ぐ!
 └マッタクDOCANだー
  └やればできるってことかい、そりゃ?
   └ともかく異例の早さと長さで、第23話『世界を止めて』お届けします




「トランザム・システム──おれは、託された!」
 刹那がサーシェスを追うのも忘れて感慨にふけってるうちに
「ヨハンにい……ミハにい……あたし、あたし……!」
 ネーナちゃんも泣きながら離脱していった
 どうも刹那くん、根絶ということばの意味がよくわかってないふしがある

○23.世界を止めて

 事態を把握したリボンズは現状についてコーナーに説明する
「データに該当するものはありません
 GNドライヴのブラックボックスに、あらかじめ組みこまれていたものでしょう
 それと、ヴェーダ内にあったマイスターたちのデータが
 完全に消去されたようです」
 くやしがるコーナーさん。たった2話で小物っぽく転落しすぎである
 しかも弾切れになるまで撃ちこんでおいてどうも命中弾が1発だけっぽい
 相手は寝てるだけのひとなのに

 L1の資源衛星内、ソレスタルビーイング隠しドックにて
 トレミーは破損機体の突貫修理および新装備の補充にかかっていた
「機体に蓄積した高濃度圧縮粒子を全面解放し
 一定時間、スペックの3倍に相当する出力を得る……」
「オリジナルの太陽炉のみに与えられた機能……」
「トランザム・システム」
「へっ、イオリアのじいさんもたいそうな置き土産を遺してくれたもんだ」
 3倍! どうりで機体が赤くなるわけだ! という反応が目に視えるようだ
 だが発動後、性能がいちじるしく低下するという欠陥も判明
 そうそううまい話ばかりはないものだ
 そして刹那から国連軍GN−X部隊の宇宙への一斉出撃と
 アリー・アル・サーシェスによるスローネ鹵獲の報告がある
「どこまでコケにするつもりだ……!」
 心中おだやかでないロックオン
 そしてスメラギさんは、国連軍の到着より早く補給が完了するとしても
 どのみちこの宙域が戦場になると断定した

「っへへ!
 ごていねいに予備パーツまでそろえてくれるたあ、気が利くねえ」
 いっぽうサーシェスは新たな自機の修理風景をながめてご満悦
 ところは国連軍輸送艦内。人革連が襲撃したトリニティ基地から
 押収したとおぼしきパーツによってツヴァイを補修中なのだった
 すなわち、おなじ艦内にいるのは──
「貴官か。このガンダムを鹵獲したのは?
 超武特務部隊のセルゲイ・スミルノフ中佐だ」
「! ロシアの荒熊からじきじきにあいさつしていただけるとは……
 フランス第4独立騎兵連隊、ゲイリー・ビアッジ少尉です
 ガンダム掃討作戦に参加させていただきます」
「聞かせてほしいものだな。どうやってガンダムを鹵獲したのかね」
「……へへ。そいつは企業秘密ということで」
 そりゃとても話せませんわな

 さてクルジスのガキは無事大気圏離脱した強襲コンテナで
 帰投がてらラッセさんと雑談中
 刹那はいまだ最終的な答えを見いだせないが、それでも
 託されたガンダムでできることを果たすつもりでいた
「正直、おれは紛争根絶ができるなんて思っちゃいねえ
 だがな、おれたちのばかげた行いは、よきにしろ悪しきにしろ
 ひとびとの心に刻まれた
 いまになって思う──ソレスタルビーイングは、おれたちは……
 存在することに意義があるんじゃねえかってな」
 刹那がラッセの言ったことに考えをめぐらせようとしたとき
 トレミーからとうとう会敵の報せがもたらされる

 敵はユニオンのバージニア級輸送艦3隻
 トレミーは資源衛星を利用しつつガンダムを前面に展開する策に出る
 ただしデュナメスを除いて。ロックオンはロックで閉めだされた
「おいおい、そりゃねえだろ!」
 ティエリアのしわざである。アレルヤは言った
「すこし強引じゃないか?」
「口で言って聞くタイプじゃない。わたしは前回の戦闘でかれに救われた
 だから、こんどはわたしがかれを護る!」
 決意のほどを表明するティエリア
 どうでもいいがかれの一人称の使い分けの法則がいまだにつかめない
「キュリオス、アレルヤ・ハプティズム、迎撃行動に入る!」
「ヴァーチェ、ティエリア・アーデ。いきます!」
 キュリオス、補充したテイル・ブースターの初おひろめである
 むかえ撃つは26機のGN−X。X字のカメラアイが開き、ぎらりと光る
 そして
「敵MS部隊のなかに、スローネがいます!」
 クリスの報告に、表情を険しくするロックオン
 GN−X隊はセルゲイ中佐の指揮のもと、万全のフォーメーションで
 2機のガンダムを包囲殲滅にかかる。そのなかにはソーマくんはもちろん
 コーラサワー、そしてダリルの姿もあった
「おうおーう♪ みなさんお元気なこって! ……ん? 来たか!」
 意気あがる一同を茶化すスローネツヴァイのサーシェス
 そんな大部隊をまえに、アレルヤは速攻をかけた
「先制攻撃をしかける! いけっ」
 さんざん火力不足を指摘されつづけてきたキュリオスから
 強力なビーム砲撃が放たれ、GN−Xが爆散する
「新装備か!?」
「しゃらくせええ!!」
 あああアレルヤとコーラサワーどっちを応援すれば
「機動性は上がっている!!」
 赤いビームの集中砲火を華麗にかわし、キュリオスの第二射が
 また1機を撃墜した
 中佐はフォーメーションを維持させつつ冷静に対応
 密集して撃ちまくってもらちがあかないと判断し戦術を切りかえる
「プランEで各個撃破を行う!」
 散開するGN−Xたちだが、ビームはヴァーチェの圧縮粒子に阻まれる
 前回防御を抜かれたため、圧縮率を変更したようである
 GN−X1機を撃墜され焦燥するダリル
「攻撃が効かねえ!!」
「まあーかせろやっ!」
「なに!?」
 そこに現れたのはおいしすぎる男サーシェス
「スローネかっ!!」
「行けよお! ファングっ!!」
 ミハエルのお株をあっさりと奪い、ヴァーチェの防御をはぎとっていく
「あああっ」
「あとは好きにしな!」
 すでに脅威でなくなったと見るや、スローネツヴァイはファングを回収し
 新たな獲物を求めて飛び去っていった
 ビームのシャワーを浴びるヴァーチェ。この状況ではナドレも役に立たない
「ぐわあああああ!」
「ティエリアっ? ──がっ!」
 だが3機めを墜としたアレルヤにも、仲間の心配をしているヒマはない
「直撃!? ……あっ、頭が……ああ!」
 頭痛と被弾に苦しむアレルヤ。この期に及んでまだ超兵対策とってない始末
 ブースターを切り離し、とっさの変形でなんとか斬撃を防ぐ
「被検体『E−57』!」
「ソーマ……ピーリスか!!」
 状況不利と判断したスメラギはガンダムに後退命令を出そうとするが
 そのとき格納庫から通信が
「ブリッジ聞こえるか! デュナメスが!!」
「デュナメス、出撃する!
 GNアーマーで対艦攻撃をしかける
 あんたの戦術どおりにやるってことだ」
「でも、その身体で──」
 スメラギが言いおえるのを待たず、通信を切ってしまうロックオン
「ハロ。悪いがつきあってもらうぜ」
「リョウカイ、リョウカイ」
「アリー・アル・サーシェス……!」
 息もつかせぬままCM



 CM明けて、さっそく中佐と少尉の親子コンビネーションのまえに
 絶体絶命となるキュリオス。だがここでついに機体が真紅に輝く
「あ!」
「なんだ!?」
「あれは……」
「トランザム……う!? ず、頭痛が?」
 頭痛がひき、まともに戦闘できる状態に戻ったアレルヤの脳裏に
 もうひとりのじぶんの声がこだまする
(脳量子波はおれが遮断してやったぜ)
「ハレルヤ……!」
(ぶち殺せよ──アレルヤあ!!)
 ハレくん親切なのはいいけど、そういうことははじめからやっといてくれ

「ぐっ……ト……トランザム!!」
 ヴァーチェもトランザムを起動させ、窮地を脱する
「なんだ!?」
「あの光は……」
 通常より強力無比なGNバズーカで隕石ごとGN−Xを破砕
「新兵器か?」
 われらがコーラサワーはまぶしさに顔を覆っていた
 そのため、アラートに反応するのが遅れ
「え?」
 ごちん
「おわーっ! たっ、大佐あああっ!!」
 隕石の破片の直撃を受け、キン肉マン的にすっとんでった

 気をとりなおして
 ヴァーチェもしかし、その一撃の代償にトランザムのリミットが
 早くもおとずれてしまう。そこに鬼気迫るダリルが飛来
「よくもやってくれたなあ、ガンダムう!!」
 だがそのダリルへ部下が叫んだ
「敵機、急速接近!」
「なに!?」
 ダリルたちめがけて横あいから射撃してきたのは
 シールドとGNアーマーで死角なく装甲されたデュナメスだった
「ロックオン・ストラトス!」
「悪いがいまは狙い撃てないんでね……
 圧倒させてもらうぜ!!」
「ホウゲキカイシ! ホウゲキカイシ!」
 おびただしい数のGNミサイルがGN−Xたちに襲いかかり
 すくなくとも1機は爆砕した。さすがにすさまじい武装である
「ガンダムっ……!」
 ダリルはさすがに生きのびていた
「このまま対艦攻撃に移行する!」
「ロックオン、そんな身体で……!」
「気づかい感謝するよ。だがなあ──いまは戦う!!」
 流星のごとく飛んでいくデュナメスGNアーマー
 ロックオンの覚悟のまえには、ティエリアの制止も無意味だった

「速すぎる!?」
「少尉!! ぐああっ!」
 セルゲイとソーマくんを翻弄し、無力化したキュリオスだったが
「くそっ……トランザムの限界時間が……!」
 しかし幸運にもそれを知らないGN−Xたちは、とうとう離脱していく
「撤退した!」
(つめが甘えなあ……)
 ハレルヤがつまらなそうにぼやくが、アレルヤは安堵のため息をつく
 それに呼応するようにキュリオスの装甲ももとの色に戻っていった
「キュリオス、ヴァーチェ、トランザム終了
 粒子の再チャージまで機体性能が低下」
「ロックオンは……?」
「敵MS部隊を突破……対艦攻撃に突入しました」
 クリスとスメラギのやりとりに気が気でないフェルト
 スメラギも戦況を予測しているのか、沈黙し刹那の到着を祈る
(急いで、刹那……かれを助けて!!)

「一気に本丸を狙い撃つ!!」
 マネキン大佐の率いる輸送艦3隻を目指し驀進するデュナメス
 GNアーマーの強力な火砲が1艦を撃沈した
「MS隊はまだか!」
「到着まで、180セコンド!!」
 それは残り2隻を撃沈するのにじゅうぶんな時間に思えた
「これで終わりだ──なに!? しまった!!」
 上方からのビーム射撃で砲を破壊され、ロックオンは振動に耐える
 さらに攻撃を受け、破壊されていくGNアームズ
 デュナメスは離脱し、GNアームズは直撃を受け爆発した
「くっ……あれはスローネ……アリー・アル・サーシェスか!!」
 一撃離脱したスローネツヴァイをデュナメスは追撃するが
 利き目をやられたままの哀しさ、命中弾を与えられない
 隕石を盾にターンし、襲いかかるスローネと斬り結ぶなか
 敵に呼びかけるロックオン
「KPSAのサーシェスだな!?」
「けっ、クルジスのガキに聞いたか!」
「く……アイルランドで自爆テロを指示したのはおまえか!
 なぜあんなことを!」
「おれは傭兵だぜ? それにな! AEUの軌道エレベーター建設に
 中東が反発すんのはあたりまえじゃねえかあ!」
「関係ない人間まで巻きこんでっ……」
「てめえだって同類じゃねえか──戦争根絶を掲げるテロリストさんよお!」
「咎は受けるさ──おまえを倒したあとでなあっ!!」
 極至近で発射されるGNミサイルをみごと回避するスローネ
 両者一歩も退かない壮絶な戦いである

 戦闘空域を確認した刹那も強襲コンテナから分離し
 トランザムで戦場へと急行する

「ぜったい赦さねえ! てめえは……戦いを産みだす権化だ!!」
「わぁめいてろ! おなじ穴のムジナがあ!!」
「てめえといっしょにすんじゃねえ!!」
 ハンドガンとサーベルを駆使し、ツヴァイを追いつめていくデュナメス
「おれはこの世界をっ──」
 だがそのとき、ハロがGN−Xの接近を告げる
 ダリル・ダッジの機体だ
「そこにいたか、ガンダム! ハワードの仇!!」
「ジャマすんじゃねえ!」
 ミサイルを浴び、満身創痍のダリルはそのまま捨て身の特攻をかけた
「しまった!?」
 右腕を奪われたデュナメスの弱点をサーシェスはとうとう看破する
「へっ……右側が視えてねえじゃねえかあ!!」
 ファングのオールレンジ波状攻撃をハンドガンでしのいでいくが
「ロックオン! ロックオン! ロックオン!」
「視えねえっ──うあ!」
 死角から襲いかかったファングが突き刺さり、大爆発
 両手足を喪い、空間に投げだされるデュナメス
「ソンショウジンダイ! ソンショウジンダイ! ソンショウジンダイ!
 セントウフノウ! セントウフノウ! セントウフノウ! セントウ──」
 ハロの声がコクピットにむなしく響く
 だがその爆発の規模と隕石群が、サーシェスに獲物を見失わせた
「しとめそこなったか。しぶてえ野郎だ!」

「……ハロ。デュナメスを、トレミーに戻せ」
 ロックオンは狙撃用の照準機をコクピットからとりはずし、ハッチを開く
 まだ戦うつもりなのだ。だがハロはイエスともノーとも答えない
「ロックオン! ロックオン! ロックオン!」
「命令だ……心配すんな。生きて還るさ」
 ロックオンはふりむくと、ハロをやさしくなでてやり、機体から離れた
「ロックオン、ロックオン! ロックオン、ロックオン!」
 ハロはロックオンの名を呼びつづけるだけだ
「太陽炉を、頼むぜ。あばよ……相棒……!」
 ロックオンが向かう先にあったもの。それは、GNアームズの残骸だった

「トランザムの限界時間が!」
 エクシアはまだ到着しない

「くそー……野郎はどこ行った!」
 デュナメスを捜すスローネの背中を、照準レティクルが捉える
 ロックオンがGNアームズの肩部ビーム砲ユニットと接続した照準機だ
 残っている左眼で標的を睨み、苦笑する
「はあっ、はあ……なにやってんだろうな、おれは……?
 けどな、こいつを殺らなきゃ……仇をとらなきゃ……
 おれはまえに進めねえ……世界とも向きあえねえ……」
「生体反応!?」
 サーシェスはすばやく機体を反転させ、牙を剥く

「だからさ──」

 アリー・アル・サーシェスの貌が、獣じみた狂気に歪み
 赤色の光条が容赦なく発射される
 だが、遅い

「狙い撃つぜえ!!!!」

 アームズのビーム砲に残留していた、本物のGN粒子
 その奔流が、スローネツヴァイを飲みこみ──砕いた



 ──とうさん、かあさん、エイミー。
 わかってるさ。
 こんなことをしても……変えられないかもしれないって……
 もとには……戻らないって。
 それでも、これからは……あしたは……
 ライルの、生きる未来は。




「GNアームズが……!?」
 やっとたどりついた刹那が見たもの、それは
 スローネのビームを受け火花を散らすGNアームズのビーム砲と
 そこからゆっくり離れていくグリーンのノーマルスーツ
「ロックオン!!」
 
 ロックオンの視界のなかで、伸ばした手のひらのなかで
 地球は軌道エレベーターに縛られるかのように、浮かんでいた
「よお、おまえら。満足か……? こんな世界で……?」
 ロックオンの指が、さいごの力でピストルのかたちをつくり
「おれは──やだね……!」
 そして砲身は、ロックオンの姿をかき消すように爆発四散した



 エクシアの手のなかに、照準機だけが遺され
 刹那・F・セイエイの悲痛な叫びは、真空に吸いこまれていった



23.世界を止めて Closed




○キャラクター
●ロックオン・ストラトス
「刹那……答えは……出たのかよ?」
・プトレマイオスが沈んだら、病気だケガだって言えるかよ
 └なんか今回、あてはまりまくりますね
・つまり墓参りしてたほうはライル・ディランディか
 ├回想がロックオン視点だとすれば食卓にいたのはライルのほうってわけか
 │└食事の数も5人ぶん
 └もう、いかにも今後重要キャラになってきそうですね
・ふむ。爆発から離れていたから、どちらともとれる演出ではあるな
 └こりゃ来期で仮面つけて再登場しかねないな
  └あなたたちには血も涙もないんですかっ!?
●ハロ
「ロックオン、ロックオン……ロックオン、ロックオン……」
・もうすべてわかってるようなリアクションがせつねえっす
●スメラギ・李・ノリエガほかトレミーのみなさん
「キュリオス、ヴァーチェ、ともに健在!」
「デュナメスを確認! トレミーへの帰還ルートに入りました」
「全員無事っすね!」
「……? どうしたの、ハロ……はっ……」
「ま、まさか……!」
・かんべんして……ロックオン……かんべんしてよ、ね……!
 わ、わたしたちこれからどうすればいいの、え、ロックオン……!
 教えて……教えてくれないのね、もう……!
 └いやなスメラギさんだね。いやでもいいけど
  └でも言っても不自然じゃない感じではあるでしょう
・ラッセのシートがカラだとなんかさみしいな
 └いままでなにしてたんだろうラッセ
  └ムードメーカー
   └いなくなってからのほうがなごやかですよねえ!?
●アレルヤ・ハプティズム
「そんな──」
・ハレルヤと連携とれるようになれば無敵だな!
 └髪短くしたら(前髪両側とも切ったら)人格統一されるんじゃないの
  └そ、そんなかんたんなことでよかったのか
●ティエリア・アーデ
「ああっ……うそだっ……!」
・そして次回はアムロとハヤトのごとくつかみあいになるようで
●刹那・F・セイエイ
「……っ……ロックオン・ストラトス……
 うっ、うあああああああああああ!!」
・あせって分離するタイミングが早すぎたのかもな
 └ガンダムは急いでもどうにもならないことが多いんだよ
  └例外はフリーダムぐらいですかねえ
●ラッセ・アイオン
「人間は、経験したことでしか、ほんとうの意味で理解しないということさ」
・パイロットとして露出が増えたせいか、このところ急に目立ちはじめた
 └目立ったとたん死ぬトール・ケーニヒみたいなのじゃなきゃいいが
  └SEEDといっしょにすんじゃねえー!!
●ネーナ・トリニティ
・リューミンさんのところに転がりこむかな?
 └ドライの機能と黒ハロは圧倒的に貴重そうだしな
  └ヴェーダへのアクセス能力もな
●ダリル・ダッジ
「おれはユニオンの……フラッグファイターだああ!!」
・意地を見せたが『ブラックファイターだ』に聴こえたのが惜しかった
 └あー……たしかにまあ聴こえましたけどー
●ソーマ・ピーリス、セルゲイ・スミルノフ
「全パイロットに通達。出撃したガンダムは2機だけだ
 フォーメーション245で対応。包囲して殲滅するぞ!」
「了解」
・おとっつぁんソーマくんにかまいすぎ!
 └全体に目を配りつつも、いつもつかず離れずだもんな
●カティ・マネキン、パトリック・コーラサワー
「リニア・キャノンで応戦しろ!」
「大佐、戦果を期待してください!」
・今回もよくがんばったよコーラサワー。カツ級のやられかただけど
●アリー・アル・サーシェス
・生きてますね
 └生きてるな……
  └ジャンク屋の少年たちに拾われてますね
   └ほーう。ギャグキャラに凋落でもさせたいか
    └させたいですよ!
●アレハンドロ・コーナー、リボンズ・アルマーク
「神をきどる不遜な理想主義者に、これ以上踊らされてたまるものか!」
・あんた神になるとか言ってたろうが!
 └他人を利用するのは大好きでも、利用されるのはがまんならんのだよ
  └シラカワさんじゃあるまいし
○メカニック
●各ガンダム
・デュナメス、スローネツヴァイもいいが、とりわけキュリオスが……
 └ああ、いままでのイマイチ感を払拭せんばかりの大活躍だった
  └でもあの追加武装ひとそろえの商品ってはたして出るんでしょか
●GN−X
・えーと今回で10機くらいは減ったか?
 └次回でコーナーさんが乗る機体がなんなのか気になるよねえ
●GNアームズ
・火力的には盛りだくさんでしたが、真価は発揮するヒマなく退場でしたね
 ├ラッセのと合わせて2機でぜんぶかなあ
 └とはいえ、強すぎて緊張感がなくなるような使いかたでも
  なにしに出てきたのかわからない扱いでもなく
  シチュエーションよく考えてありましたね
○総評
・今週はほぼ全編戦闘シーンなのに作画の乱れもなく
 スタッフの本気を感じたね、観てきてよかった
 └最終的に生きてるとか死んでるとかぬきにして、ぐっときました
  └だがこうなるとだよ、問題はあと2話をこれ以上どう盛りあげるかだ
   └まあ、待つしかないわけなんだけど
●次回予告
 無謀な望みを求めるものは、風車に挑む愚かな騎士か?
 たとえそうでも、かれらはここにいるのだ
 次回『終わりなき詩』
 無垢なる望み。その代償は生命か

 ・コーラサワー!? ま、まさかね
  └ああ、まだまだ。やつはこれからもきっとやってくれるさ!
 ・なんだあの口っぽいのは!
  └さいしうモビルアー……
   └もういいって言ってるだろ!!



 2年前
 アステロイド帯に存在するソレスタル・ビーイング隠しドックにて
ハンガーに並んだモビルスーツ『ガンダム』4機とともに、マイスターたちが一堂に会していた
 ロールアウトカラーのまま佇むガンダムエクシア、そして、その乗り手
「新しいガンダムマイスターを紹介するわ。コードネームは刹那・F・セイエイ。
 かれにはGN−001のパイロットとして──」
 スメラギ・李・ノリエガがたった14歳の少年をマイスターとして紹介しようとするのを
長髪の青年、アレルヤ・ハプティズムが遮った
「ちょっと待ってくださいスメラギさん……かれはまだ子どもですよ!?」
「パイロット特性は基準値をクリアしてるわ」
 当然とばかり答えるスメラギに、眼鏡の若者もレンズの下の瞳を疑わしそうに細め
「ヴェーダがかれを選んだのですか?」
「もちろんよ」
「信じられない……!」
 吐きすてるようなひとこと。刹那は仲間となるものたちに歓迎されていないようだった
「いいじゃねえか」
 ひとりを除いて。キャットウォークによりかかっていた年長の男が、軽い調子で言う
「おれらは相当の覚悟を決めて組織に入り、ガンダムマイスターになった
 年齢なんて関係ねえ、そうだろ?」
「あんたは?」
 その男はやおら刹那の正面に立ち、まっすぐに視線を投げかけた
「コードネームはロックオン・ストラトス。成層圏のむこう側まで狙い撃つ男だ──
 おまえもガンダムで世界を変えたいんだろ?」
「ああ」
「おれもだよ、刹那」
 
「ロックオン、ロックオン……」
 だが、それは記憶でしかない。いまここにロックオンはもういなかった
 エクシアの手に遺された照準機と、こだまするハロの声だけがそこにはあった
 ハロの呼び声に触発されたかのように、刹那の胸に去来するさまざまな思い出
「ロックオン、ロックオン……ロックオン、ロックオン……」
 ひとりのマイスターの紛争根絶への願い
 その想いは、いま寂寞の宇宙よぞらに舞いあがり──砕けた
「──オン……ストラトス……
 ロックオン……ストラトス……! うぁあああああああ!」

 24.終わりなき詩

「お嬢さま!」
 展望室から宇宙を眺めていた王留美の黙考は、紅龍の状況報告によって中断された
「プトレマイオスから特別暗号通信が届きました」
「内容は?」
「『国連軍擬似GNドライヴ搭載型モビルスーツと交戦を開始』以上です」
「そう……」
(世界は、どちらに傾くのかしら? 国連か……かれらか)
 変わらない世界に厭いている、若き富豪
 破壊を望むかのじょにとっては、どちらに天秤が傾こうがおなじことなのかもしれない

 プトレマイオス艦内では半壊したデュナメスをかたわらに
「きさまだっ!」
「やめろ、ティエリア!」
 イアン・ヴァスティの制止も耳に入らないティエリアが、帰還した刹那につかみかかっていた
 だれを責めることもできないはずだ。だがそれでも、かつて機械のようだったティエリアは
みずからに生まれたばかりの感情を、だれかにぶつけずにはいられなかった
「きさまが地上に降りたばかりに、戦力が分断された!
 答えろ! なぜかれが死ななければならない!? なぜ……かれが……!!」
『おまえをかばって利き目をケガしたからじゃねえの』などと言えば、いまの不安定なかれは
本格的にだめになってしまうかもしれない。その問いに返答できるものがいるはずもなかった
 ティエリアの目を醒まさせたのは、マイスターたちを呼びにやってきたスメラギの平手だった
「敵はまだいるのよ! 泣きごとを言うひまがあったら手伝って!」
 ブリッジではフェルト・グレイスが、ロックオンの形見となってしまったハロをかき抱き、
涙にくれていた
「うっう……うう……!」
「フェルト、ゴメン! フェルト、ゴメン!」
「ハロが悪いわけじゃない……ハロが、あやまることなんて……! うっううっ」
 そんなフェルトをなだめることばの見つからないクリスティナ・シエラとリヒテンダール・ツエーリ
「フェルト……」
「いやなんすよ、こういうの……!」

 ロックオンの猛攻を免れた国連軍母艦では、戦力の立てなおしが図られていた
「27機中、帰還できたのはたったの11機。鹵獲した機体も喪ってしまった
 それに、ガンダムの新たな能力……」
 トランザム・システムはまったく想定していなかった脅威だ。セルゲイ・スミルノフ中佐は
 横のシートで指揮を執るカティ・マネキン大佐へ現実的な案を提示した
「マネキン大佐、わたしは現宙域からの撤退を進言する。このままではいたずらに兵を喪うだけだ」
「わたしも同意見ですが、国連の司令部はこちらに増援を送ると言ってきています」
「増援だと? まさか、GNドライヴ搭載型がまだあるというのか?」
「わかりません……到着しだい、第二次攻撃を開始せよとの命令です」
 このうえでさらなる戦力増強などありえるのか。疑問を抱くかれらの意識は、アラームでそらされた
「ん?」
「本艦へ向かってくるGN−Xを捕捉!」
「なにっ」
「生存者がいたのか?」
 そのオペレーターの報告は、12機めの生還者を意味するものだった
「機体照合確認。パイロットはAEU所属、パトリック・コーラサワー少尉です」
「すみません大佐あ……やられちゃいました」
「心配させおって、ばかものが」
 しょうこりもない調子だったコーラサワーに、カティ大佐は安堵の嘆息とともにつぶやいた

 3箇国連合のGN−Xパイロットたちは待機用の控え室でつかの間の休息をとっていた
 そこにはソーマ・ピーリス少尉の姿もあった。ピーリスの思考は因縁深いキュリオスに向いており
(羽つきの、ガンダム──わたしの脳量子波の影響を受けていなかった
 遮断措置を施したのか? それとも?)
 トランザムの力よりも、これまでの戦闘とあきらかに異なるパイロットの反応が気にかかっていた
(どちらにせよ、次の戦いで決着をつける
 わたしは完全体の超兵、できそこないの被験体E−57に負けるわけにはいかない!)

 プトレマイオスでは、最終戦闘にそなえ、やれるだけの措置をとっていた
「指示どおり、GN粒子を散布させつつ衛星を飛ばした……しかし、こんなんで敵さんをだませるのか?」
 不安げなイアンに、スメラギはあっさり「気休めです」と答える
「アステロイド周辺は監視されてるでしょうから……でも、打てる手はぜんぶ打っておかないと
 それで、ガンダムの状況は?」
「キュリオスは、飛行ユニットを取りのぞけば出撃は可能だ
 ヴァーチェは、外装を取っぱらってナドレで出撃させる。専用の武器も用意した」
 ナドレの手には、オーソドックスなライフルとシールドが装備されていた
「どのくらいで終わりますか?」
「最低でも8時間てところか……」
「6時間で、お願いします」
「わかった」
 通信を終えたスメラギは「はあ……」とため息をつく
(現戦力で期待できるのは、強襲用コンテナとエクシア、GNアームズ……
 頼みの綱のトランザムも、制限時間がある──)
 不安要素だらけで心を痛めるスメラギのもとに、艦内回線で接続してきたのは意外な人物であった
「ティエリア!」
「スメラギ・李・ノリエガ、次の作戦プランを提示してください」
「まさか……戦おうというの?」
「もちろんです。敵の擬似GNドライヴ搭載型を殲滅させれば、世界に対して
 われわれの力を誇示することができ、計画を継続できる」
「リスクが大きすぎるわ! 敵の援軍が来る可能性も──」
「わかっています。ですが、これはわたしだけの気持ちではありません。マイスターの総意です」
「! アレルヤと刹那も……?」
「頼みます」
 バラバラだったマイスターたちの心がひとつになっている
 これはスメラギ母さんも、弱気になっているばあいではなかった
(生き残る……覚悟……)

 刹那・F・セイエイはデュナメスの戦闘記録映像にスローネツヴァイの姿をみとめる
「アリー・アル・サーシェス!? あの男がロックオンを……!?」
 じぶんに銃を向けてきたロックオンの記憶が脳裏をよぎる
『おれの両親と妹は、KPSAの自爆テロに巻きこまれて死亡した
 家族の仇を討たせろ……恨みを晴らさせろ……!』
 刹那は考える。ロックオンの戦いは、なんだったのか。なんのためのものだったのか
「生命を投げだして、仇を討ったのか? ロックオン……」
 少年時代、神のために死んでいったゲリラの少年が口にしたことを思いおこす
『なんだおまえ、死ぬのが怖いのか? それは神を冒涜する行為だぞ?』
「……死の涯に、神はいない!」
 では、なにが答えとなりうるのか。糸口となったのはラッセ・アイオンのことばだった
『いまになって思う。ソレスタルビーイングは──おれたちは──
 存在することに意義があるんじゃねぇかってな』
「! 存在すること──それは、生きること。亡くなったものたちの想いを背負い、世界と向きあう
 神ではなく、おれが……おれの意志で!」
 神にすがり、ガンダムを求めた少年が、みずからの戦いになにかの意味を見いだそうとしていた

 いっぽう国連軍は、スメラギが『気休め』と予測した囮に対してどう対応したかというと
「第34観測班から通信、アステロイドから離れていくよっつの物体を確認したそうです」
「アステロイドの外周を哨戒中の部隊に確認させろ」
「はっ!」
「……陽動だな」
「ええ、そう思います」
 さすがロシアの荒熊。即バレだった
「後方より接近する機影があります!」
 連絡のあった、国連からの増援がやってきたようだった
「ん?」
 黄金に輝くその姿を目にしたカティとセルゲイは、戦慄を禁じえなかった
「なんだ、この機体は……!」
「これも……ソレスタルビーイングから接収したのか……?」
 だとすれば、ソレスタルビーイングについての認識を改めなくてはならなかった

「そうっスか、刹那たちは戦うほうを選んだんスか」
 プトレマイオスのブリッジも、最終決戦の予感に緊張を増していた
「覚悟を決めておけよ」
「おっかねえの……」
「でも、やるしかないのよね」
 不自然なまでにいつもどおりにふるまうラッセとリヒティ、クリスだったが
「ん?」
「なにしてんの、フェルト?」
 ロックオンの死に涙していたフェルトは立ちなおり、なにやら書きつけをしていた
「手紙を……」
「手紙?」
「うん。天国にいるパパとママ、それから、ロックオンに」
 そのことばに、クリスがはっとする
「……フェルトの両親は」
「縁起悪いなあ、遺書なんて」
「ちがうのっ」
 リヒティが軽口をたたくと、フェルトは即答した
「わたしは、生き残るから……『とうぶん会えないから、ごめんなさい』って」
「そっか!」
「その意気だ、フェルト」
「ロックオンと、約束したから……」
「守れよ、その約束」
 この瞬間、クルー一同の心になにかが生まれたのか、クリスがまず口火を切った
「あーあ、あたしも出そうかな手紙」
「だれにです?」
「コロニーにいるママ」
「ん……」
 その返答を聞くまで、ちょっとだけ身がまえたリヒティであった
「育ての親だけどね。いい思い出なんて何もないわ……逃げるように家を出て、ヴェーダに選ばれて」
「いるだけいいさ」
「ほんとほんと」
「そういうリヒティは?」
「両親は軌道エレベーターの技術者だったんですよね。ガキのころの太陽光発電紛争で、あっさりっすよ」
「みんないろいろあるんだ……」
 感慨とともに、フェルトがつぶやく
「いろいろあるから、みんなソレスタルビーイングに参加したんすよ」
「そういや、こんなふうにおたがいのこと話したの、初めてだな」
「それは守秘義務があったから……でもいまさらよね!」
「そうっすね!」
 そんな3人のやりとりに、フェルトは微笑んでいた

 腕組みして出撃を待つアレルヤのもとに、ティエリアも加わった
「ナドレの整備は?」
「終了した」
「しかし、トライアル・システムもなく、粒子貯蔵量も少ないナドレでは──」
 ナドレ、ほんとうにトライアル・システム以外なんの売りもないようだった
「それでもやるさ」
 ティエリアは決然と言いはなつ
「わたしは、ロックオンの仇を討たなければならない……」
「あまり、熱くならない方がいい」
 だがティエリアは、その忠告でむしろ燃えあがった
「そうはいかない……!」

「刹那」
 コンテナ内にやってきたフェルトは、半壊したデュナメスのコクピット部に、先客の姿を発見した
 ハロを抱え、佇んでいる刹那に声をかけたフェルトは、そのまま刹那の手を借りつつ降り立つ
「フェルト・グレイス。どうした?」
「手紙書いたの……ロックオンに」
『ロックオンへ』と日本語で記された白い封筒をデュナメスのシートに置くと、フェルトは訊ねた
「刹那は、手紙を送りたいひとはいる?」
 一瞬の沈黙のあと、かれは短く答える
「いないな」
「そう……さびしいね……」
「さびしいのは、あいつだ」
「え……」
「だからハロ、そばにいてやってくれ。ロックオン・ストラトスのそばに」
「ロックオン、ロックオン」
 生きる決意をしたかれらがロックオンのもとに行ってやることはできない
 デュナメスを墓標代わりに、せめてしばらくハロを傍らにいさせてやりたかった
「いてあげて。ハロ」
「リョウカイ! リョウカイ!」
「ありがと」
 そのとき、とうとうアラームがかれらのさいごの休息の終わりを報せた
「!」
『Eセンサーに反応、敵部隊を捕捉しました。相対速度0235。戦闘可能宙域まで──』
「行くぞ、フェルト」
「はい!」

 ブリッジに入ったスメラギは、開口一番
「敵部隊の総数は!?」
 クリスは緊張のおももちで報告する
「じゅ、13機です! でも、そのなかにすごく大きいものがいます」
「大きいもの?」
「モニターに出します!」
「遅れました! はっ!?」
 やってきたフェルトが、モニターに映しだされたその威容に息をのむ
「これ、戦闘艦ですか?」
「ちがうわ」
 7基もの擬似GNドライヴを具える、巨大な金色の戦闘マシン──
「あれは……擬似太陽炉を搭載した、モビルアーマー!!」

「……ふ」
 MA『アルヴァトーレ』のコクピットに座るアレハンドロ・コーナーは、笑みとともに第一射をトリガー
 大出力のビームが虚空を切り裂き、まだ遠くにいるプトレマイオスへと伸びていく

「粒子ビームが来ますっ!!」
「あの距離から!?」
「このおっ!」
 リヒティのとっさの操舵で直撃をまぬがれはしたが、かすめたビームによる損害は
けっして小さいものとはいえなかった
「第1粒子出力部に被弾!」
「粒子供給を第2出力部にすべて回して!」
「了解!──第2波、来ます!」
「リヒティ!」
「やりますよぉ!」
 きわどいところでビームを回避するトレミー。激震がブリッジを襲う
「うわああ!」
「きゃあっ!」
 スメラギはMAをこの戦闘の主力と判断し、刹那とラッセをぶつけるべく指示を発する
「強襲コンテナ出撃! 目標、敵モビルアーマー!」
「了解」
「強襲コンテナ、出撃する!」
 エクシアとGNアームズを搭載したコンテナが、発艦していった
「リヒティ、トレミーを近くの衛星の陰に!」
「了解っす」
「キュリオスとナドレはコンテナから直接出撃! トレミーの防御を!」
「「了解!」」
 アレルヤとティエリアのガンダムは、トレミーが盾代わりにした小惑星から姿を現す

『作戦通り、スペースシップに対し、2方向同時攻撃を仕掛ける』
 セルゲイ中佐の指揮の下、13機のGN−Xは総攻撃の布陣を整えつつあった
『各機、衛星を盾に接近し、これを叩け』
『了解!』
「手柄はオレ様がいただきだぜ!」
 コーラサワーも今回は本気だった。今回こそ本気だった。はずだ
「前方より、急接近する機影! 敵機です!!」
 ピーリス機が猛スピードですれちがう強襲コンテナを確認、全機が射撃を加えたが、やりすごされてしまう
「中佐──」
「アルヴァトーレにまかせればいい!」
「はっ!」
 セルゲイも敵の作戦を見抜き、主力どうしの戦闘は一任し、母艦に狙いを絞ることにしたのだ
「こんどこそ、この戦いにケリをつける!」
「敵モビルスーツ部隊、左右より来ます」
 クリスが敵の散開をみとめる。迎え撃ち、GN−X1機を撃破したビームは
「ガンダム!」
「これ以上は行かせないっ!」
 ティエリアのガンダムナドレのライフルが放ったものだ
「セミヌードのくせに!」
 コーラサワー隊とティエリア、微妙な因縁の対決が開始された
 シールドでビームを弾くが、やはり非力なナドレの哀しさ、劣勢を強いられる
「くっ……トランザムにはまだ早い!」
 コーラサワーにトランザムの使用を検討させられるティエリアの顔に、あせりの色が浮かぶ

 分かれた残りのGN−Xはトレミーの喉許まで迫るが、ピーリス少尉が後続機の異常に気づく
「どうした? ──あ!」
 GN−Xを引き裂くと、背後からシールドをクローにしたキュリオスが姿を現す
「はっはっはっはあー!」
 この武器、そしてこの笑い声
「あの機体は!」
 ピーリス機はビーム・サーベルを抜刀、切り結ぶ
「きさまかっ!!」
「悪いなアレルヤ! おれはまだ、死にたくないんでねえ!」
 ハレルヤは叫び、左手のクローがGN−Xの右腕をとらえ、動きを封じる
「披験体『E−57』!」
「はいはーい」
 キュリオスのライフルがかのじょを狙い、
「……!」
 だがそこへ割って入ったセルゲイのGN−Xに蹴りとばされる
「ぐおっ!」
「ここはわたしにまかせろっ」
「ふはっはっはっはあ!!」
 GN−Xたちのビームが接近戦狙いのキュリオスを遠ざけ、戦闘は膠着状態となった

「射程内に入った。攻撃を開始する!」
 ラッセが強襲コンテナの発射孔を展開させ、GNミサイルを斉射
雨あられとアルヴァトーレに降りそそいでいくが、敵は無傷であった
「GNフィールド!? どうやってあんな出力を……」
「くっ!」
 接近するまで、刹那はコンテナ内でそれを観ているしかなかった
「ならこいつでどうだあ!」
 ラッセのおたけびとともに高出力のビーム砲が発射されたが、これも完全に弾き散らされてしまう
 アルヴァトーレはその凶悪な砲門を開き、ふたたびビームを発射。だが目標はコンテナではなく
「トレミーか!?」

「うおあああ!」
 1機のGN−Xをクローでひねりつぶしたハレルヤと、もう1機のGN−Xをアルヴァトーレのビームが
アステロイドごと呑みこんでいく。敵味方の見境もない一撃だ
「なんだ! うわっ」
 キュリオスはとっさに岩陰に隠れたが、怒涛となったビームが機体を岩ごとふきとばした

「あああああっ!!」
 艦体をえぐるビームに翻弄されるプトレマイオスのブリッジ。ティエリアも
「く……プトレマイオスが!」
 艦を護ろうとするが、GN−Xへの応戦で手いっぱいだ
 キュリオスは撃墜こそされなかったが、右のマニピュレーターと脚部を喪い、ハレルヤは歯がみした
「くそったれがあ!」
 そして初弾で推進器を破損したため回避が遅れてか
いまのアルヴァトーレの砲撃によるトレミーのダメージは深刻なものであった
「第3、第4コンテナ、大破!」
「B20から68までのシャッターを降ろして」
「了解」
 クリスからの損害報告をうけて指示を出すスメラギだったが
「スメラギさん! メディカルルームが……!」
 モレノ医師のなきがらは破壊された艦内を漂っていた。あまり出番も活躍もないまま戦死である
 イアンが拳をコンソールに叩きつけ、嘆く
「勝手に逝くな! ばかやろお!」
「そんな……」
 だがスメラギには悲しむいとまなどなかった。さらに悪い報せがもたらされたからだ
「システムに障害発生! GNフィールド……展開不能!!」
「くそお……!」
 悔しがるリヒティ。スメラギはキャプテン・シートを立ち、ブリッジをあとにする
「強襲コンテナへ行くわ、迎撃しないと! イアンに連絡を!」
「了解!」
 そして事態に業を煮やしたティエリアは、ついに切り札を使用する
「──よくも!」
 ナドレの機体が紅く輝き
「トランザムっ!」
 1機、また1機とGN−Xたちを粉砕していく。猛攻にうろたえるコーラサワー
「なんだあ!? こいつは?」
 僚機とともに迎撃するが、勢いづいたティエリアを止めることはできない
 あぶなーいコーラサワあー
「ナドレ、目標を──」
 そのとき、アルヴァトーレのさらなる遠距離砲撃がナドレを襲った
「なに!?」
 機体を焼かれていくティエリア。トランザムも解除されてしまう
「ぐああああっ! ……ぐう!」
 なんとか体勢をたてなおそうとするも間にあわず、GN−Xのライフルが容赦なく機体を削っていく
「ぐあ!」
「こいつはラッキいー!?」
 背後から撃たれ、手足をもぎとられていくナドレ。だがティエリアは観念などしなかった
「まだだ……まだ、死ねるか……!」
 2機のGN−Xが、とどめとばかりに肉迫してくる
「計画のためにも、そして……」
「ガンダムう!」
「ロックオンのためにも!!」
 さいごの力をふりしぼって機体をひるがえし、ライフルからたった2発の粒子ビームが伸びていき
ナドレは頭部を撃ち砕かれたが、反撃は2機のGN−Xに突き刺さり、爆散させた
「え?」
 コーラサワーの姿は閃光に消え、破壊されたGN−Xの残骸は虚空を漂い去っていった
いや、まあ、生きてるんだけどねどうせ
「っ……」
 やるべきことをやり終えたティエリアは目を伏せ、右腕以外を喪失したナドレも空間に流されていく
「ヘタこきやがっておセンチ野郎が!」
 ハレルヤのキュリオスは経戦中、ダメージを負った機体でビームをかいくぐっていた
 キュリオスを包囲しようとする中佐だったが、援護の艦砲に阻まれる
「まだ生きていたのか!」
 モニターには満身創痍のトレミーが映った
「でえやあ!」
「お願い、当たって!」
 イアンとスメラギが、デュナメスの太陽炉を接続した強襲用コンテナから攻撃をかけているのだ
 そしてブリッジでは
「フェルト!」
「はい?」
「デュナメスの太陽炉に不具合があるわ! 接続状況に問題があるみたい」
「──? そんなデータ……」
「急いで! このままじゃやられる」
「……了解」
 クリスに言われるまま、フェルトがシートを離れコンテナへ向かうと、リヒティはいつもの軽さのまま
「いまの、うそでしょ?」
「わかる?」
「そりゃあ」
 GNフィールドがなくなった以上、もはやトレミーはブリッジよりも
ガンダムを擁するコンテナのほうが安全だと、ふたりにはわかっていた
「あ! 1機、こっちに向かってくる!」
「生きのびますよ!」
「わかってる。フェルトにもう、しかられたくないもの!」

「GNミサイル!」
 スメラギのミサイルを左腕に受けながらも、そのGN−Xは接近の勢いをゆるめない
コンテナのない側からトレミーを撃沈しようと向かってくる
「死角に回りこむ気ね!?」
「させるか! コンテナをトレミーから切り離す」
 そのとき
「状況は!?」
 フェルトがコンテナのコクピットに入ってきた
「フェルト!?」
 驚くスメラギと、敵の接近を告げるイアン
「来るぞ!!」
 GN−Xがトレミーの正面に出現し、銃口が真紅の光を放ったとき
「ああ……!」
「クリス!」
 リヒティはとっさにクリスのシートへ覆いかぶさっていた

「クリス! リヒティ!」
「こっのお!」
 コンテナが弾幕を張り、数射めがとうとうGN−Xをとらえ、蒸発させた
 だが──
「ああ……!」
「クリス! リヒティ! 応答して! クリス!」
 ブリッジは削りとられ、完全に宇宙空間に露出してしまっていたが、クリスとリヒティはそこにまだ立っていた
「リヒティ……はっ……!?」
 クリスは、じぶんをかばった青年の肉体がずたずたになっているのを見た
 その裂けた皮膚の下が、金属部品で構成されていることも
「……だいじょぶっすよ……
 親といっしょに、巻きこまれて……身体の半分が、こんな、感じ……
 生きているのか……死んでいるのか……」
 かれがプールでもできるだけ肌の見えない水着でいたのは、機械の身体を目立たせないためだったのだ
「リヒティ……
 ばかねえあたし。すぐ近くにこんないい男、いるじゃない……!」
「……ほんとっすよ……」
「見る目ないね……あたし」
「ほん……と……」
 涙をこぼすクリスを見守りながら、リヒテンダール・ツエーリは静かに目を閉じた
「リヒティ……?」

 コンテナでは、スメラギが必死に呼びかけていた
「リヒティ、応答して! クリス!」
『スメラギ・さん……?』
「クリス!? 無事だったのね、リヒティは!?」
 沈黙が、なによりの回答となった
「は……」
「……」
「……」
『フェルト……いる?』
「います!」

 フェルトにさいごのことばを贈るクリス
「もうちょっと……おしゃれに……気を遣ってね……?」
 その背には、破片が深々と突き立っていた

「そんなこと……!」
『ロックオンのぶんまで……生きてね……!』
「!!」
『かはっ』

 ヘルメットのバイザーを血で染めながら、クリスは祈りのようにつぶやいた
「おねがい……世界を……変えて……!」
 まるで終わらない詩のように、願いをつぶやきつづけた
「おねがい……!!」
 プトレマイオスが爆光に包まれる、そのさいごの瞬間まで

「クリス!!」
「リヒティ!!」
 スメラギは、イアンは、そしてフェルトは
「!! あ……っくっ……クリスティナ・シエラあああ!!」
 くずれおちていくトレミーをまえに、慟哭した

 そして、アルヴァトーレの暴虐のまえに、刹那とラッセは
「攻撃が効かない!」
 分厚いGNフィールドに阻まれ、攻めあぐねていた
「なら、懐に飛びこんでえ! 直接攻撃だ!」
 ラッセはコンテナを突進させ、フィールドにビーム砲口をめりこませた
「よし──う!?」
 アルヴァトーレはクローを展開させ、コンテナをつかむ。そのすさまじい力に刹那もうろたえる
「なに!?」
「ふっはっはははははははは!
 いまいましいイオリア・シュヘンベルグの亡霊どもめ……
 このわたし、アレハンドロ・コーナーが、貴様らを新世界への手向けにしてやろう!」
「冗談!」
 コンテナ側面のビーム砲をクローへ撃ちこむが、フィールドと装甲を破ってクローを破壊することはできず
「くそっ、刹那!」
 ラッセはシートごとGNアームズへ移乗、そしてコンテナから離脱したガンダムエクシアは
「エクシア、刹那・F・セイエイ」
 ついに解き放たれたGNソードをかまえ、黄金色の禍々しいモビルアーマーへと躍りかかった
「目標を駆逐する!」
 決着のときが、やってきた

24.終わりなき詩 Closed




キュリオスが散る
ナドレが散る
エクシアが散る
生と死が交錯していく……!
次回『刹那』
破壊から再生へと至る変革期、その痛みに、少年がうめく




「ふっはっはははははははは!
 いまいましいイオリア・シュヘンベルグの亡霊どもめ……
 このわたし、アレハンドロ・コーナーが、貴様らを新世界への手向けにしてやろう!」
「冗談!」
 コンテナをつかんだクローにビームも弾かれ
「くそっ、刹那!」
 破壊されていくコンテナを捨て、ラッセはシートごとGNアームズへ移乗。離脱したエクシアは
「エクシア、刹那・F・セイエイ」
 GNソードをかまえ、フィールドに護られたMA、アルヴァトーレへと躍りかかった
「目標を駆逐する!」
 だがアルヴァトーレは近接防御用のビーム砲口を開き、弾幕でエクシアをふりはらおうとする
「く……!」
『刹那! コンテナを狙え! うまくいけば、あの腕ぐらいふっとばせる!』
「了解!」
 ソードをライフルモードにきりかえ、コンテナに撃ちこみ爆散させるが
「やったか!?」
「いや!」
 やったかって言っちゃだめだって何回言ったらわかるんだ
 クローはまったくダメージを受けていなかった
「ちっ……無傷かよ!!」
「っふっふっふっふっふ……そのていどでアルヴァトーレに対抗しようなど、片腹痛いわ!」
 国連大使、監視者、そしてイオリア・シュヘンベルグの座を簒奪しようともくろんだ男──
 アレハンドロ・コーナーの表情は、野心と妄執に歪んでいた

 25.刹那

 沈んだトレミーをかたわらに、デュナメスを積んだ強襲コンテナ内のスメラギたちは戦況を確認中
「フェルト、マイスターたちの状況を教えて」
「ナドレは大破……ティエリアからの……応答なし」
 すすり泣きながらも、絶望的な事態を報告するフェルトだった
「なんだと……!?」
「キュリオス……機体、損傷大……敵MS2機と交戦中……!」
 スメラギにも、もはや祈る以外になにもできなかった
(みんな……!)

「羽つきは衛星のどこかに隠れている。あの機体状況では遠くには逃げられまい」
 セルゲイ中佐の読みどおり、ダメージを負ったキュリオスはGN−Xたちの目と鼻の先に隠れていた
「しくじったぜ、ったく……」
(ハレルヤ)
「あ? ひっこんでろアレルヤ……生死の境でなにもできないてめーにゃ用はねえ」
 アレルヤ・ハプティズムのなかで、ふたつの人格がふたたびせめぎあいを始めた──いや
「おれは生きる、他人の生き血をすすってでもなあ!」
(ぼくも生きる!)
「なに……?」
(ぼくは、まだ世界の答えを聞いていない。この戦いの意味すら……
 それを知るまで、ぼくは、死ねない!)
 生きる……
 とうとう初めて、このふたりは心の底から同一の目的を得たのだ
 ハレルヤはヘルメットを脱ぎ、そして片目を塞いでいた前髪をあげ、オールバックにした
「……はっ、ようやくその気になりやがったか……
 ならあの女に見せつけてやろうぜ──本物の、超兵ってやつをな!」
 双眸をあらわにした金銀妖瞳ヘテロクロミアをきらめかせ
 合体超兵アバレルヤ・プティズム、ここに爆誕

「出たか!」
 岩から現れたキュリオスに、セルゲイとピーリスのGN−Xは即応し、射撃をかける
「直撃コース──」
 アレルヤがつぶやき、ハレルヤが叫ぶ
「よけてみせろよ!」
「!?」
 当たるはずの射撃が命中せず、ピーリスは息をのむ
「軸線を合わせて!」
 アレルヤがキュリオスを変形させ、変幻自在の挙動で追撃をかわし
「脚と!」
 ハレルヤが一瞬でMS形態に戻ったキュリオスで、ピーリス機めがけて
「同時攻撃を!!」
 スピードにまかせ、蹴りをみまった
「ぐっっうっ!」
「少尉!」
 中佐が反応できたのは衝撃に苦しむピーリスの声に対してだった。キュリオスの速度に対応できない
 キュリオスはクローをワイヤーで射出、セルゲイ機の左肩口をがっちりとホールドする
「ぬっく!」
「うおおおーお!」
「中佐!」
 そのまま左腕を根元から引きちぎり、反撃を変形で回避。まるで消えたかのように一瞬で距離をとる
「動きがちがう……!」
「あの機体で、どうして!?」
 ガンダムキュリオスは右腕と右脚を喪っているとは思えないスピードとパワーを発揮していた
「いままでのようにはいかねえー!」
 いままでのかれではない。分割されてしまったガンダムマイスターではないのだから
「そうだろ? ハレルヤ!」

 エクシア・GNアームズとアルヴァトーレとの戦闘も激化していた
 連装ビームにシールドを破壊され、波状攻撃をGNフィールドに阻まれ、そして
「あの武器は、スローネとおなじ!」
 遠隔操作によるオールレンジ攻撃を実現する特殊武器、ファングが襲いかかる
「刹那、ドッキングだ!」
「了解!」
 ファングを迎撃しつつGNアームズと合体し、エクシアはGNアーマーとなり装甲と機動力を確保した
「GNアーマーなど……ファング!」
 アレハンドロが新たなファングを飛ばし
「フィールド展開!」
「狙い撃つ!」
 ロックオンのお株を奪った刹那が射撃に専念することでファングを突破、だが
「よくぞ避けた……しかあし!」
 アルヴァトーレはフィールドでビームを弾き、さらに主砲が牙をむいた
 GNアーマーは砲撃をいったん退いて回避。ビームは小惑星帯をなぎはらっていく
「つっこむぞ! 刹那あ!!」
「ばかのひとつおぼえとは!」
 クローでGNアームズのクローをつかむが、それは陽動だった
 エクシアのソードがアルヴァトーレのクローを切断する
「なに!?」
「くたばれ!」
 ラッセが至近から放ったビームによって、もう一方のクローも粉砕
 反撃を受け小爆発を起こしながらも、流血しつつラッセは叫ぶ
「まだまだ……もう一撃い!」
 すれちがいざまにアルヴァトーレをビームで射抜き、すくなからぬダメージを与えるが
「刹那……おれたちの存在を──」
 それが限界だった。GNアームズのコクピットは爆発の閃光に包まれた
「ラッセ! く……きっさまあああ!!」
 刹那は獣と化した
「うおおおおおおおおおお!!」
 GNアームズを捨てたエクシアが、絶叫とともに、四方からアルヴァトーレを斬り刻んでいく
「っなにい!?」
「はああああああ!!」
 ほとんどの武器を使い果たしたMAに、もはや抵抗のすべはなかった
「ば、ばかな……ガンダム1機に、わたしのアルヴァトーレがあ!?」
 アルヴァトーレは爆発し、光が怒れるエクシアを照らす

 そしてさいごのGN−Xたちとアバレルヤの決着もつこうとしていた
 セルゲイ機はライフルの連射をかわされ、右腕ごと持っていかれ戦闘不能となる
「うお!」
「中佐っ……ええい!」
 ライフルの連射で追ってもキュリオスの撃破はならず
「は!?」
 超兵の反射能力をもって、斬撃をとっさにサーベルで受けはしたが、ピーリスはあせりに支配された
「なぜだ!? わたしは完璧な超兵のはずだ!」
「わあかってねえなあ、女」
「なに!?」
「おめえは完璧な超兵なんかじゃねえ! 脳量子波で得た超反射能力……
 だが、てめえはその速度域に思考が追いついてねんだよ!
 動物みてえに、本能で動いているだけだ!」
「そんなことっ!!」
 GNバルカンが眼前を薙いだとき、そこにはもうだれもいなかった
「だから動きも読まれる」
「はっ!」
 キュリオスは、頭上の小惑星に立っていた
「反射と思考の融合……それこそが、超兵のあるべき姿だ!!」
 ダメージ箇所から粒子を噴きだしながらも、キュリオスはついにトランザム・システムを起動
「あの輝きは!!」
「例のやつか!?」
「このお……!」
「少尉!」
 無謀なまでに猪突するピーリス機の猛攻をかわし、GN−Xの腕を落とし、脚を刻むキュリオス
「うう!」
「さよならだあ、女あっ!」
「──少尉!」
 シールド・クローが捉えたのは、割って入ったセルゲイ機だった
「ぐあっ」
「中佐!」
 しかし、敵を掴んで離さないためのクローの特性上、それは決定的なスキとなる
「いまだ!」
「……!」
ピーリス!!
「……! おおおおおおおお!!」
 GN−Xはありったけのビームをキュリオスに叩きこんだ
「がっ! うわあああ!」
 コクピット内に爆発が起こり、アレルヤは右目に傷を負い、キュリオスははじきとばされていった
 だがピーリスはそちらには目もくれず
「中佐……中佐!」
 セルゲイ機のコクピットを開放すると、中佐の無事をたしかめた
「なにをしている、わたしにかまうな! 戦え、少尉!」
「できません!」
「!?」
 ソーマ・ピーリスは、まるで心細さに泣きだしかけている少女のように
「中佐がいなくなったら……わたしはひとりになってしまう」
 と告げた
「少尉……」
 そんなふたりの姿を、離れていくキュリオスのコクピットから、痛む片目をおさえたまま
「うう……あ、あ……はっ!?」
 アレルヤが見ていた。そして
「マ──マリー!?」
 モニターに映ったセルゲイ中佐の顔を見て『マリー』と呼んだ
 わけではないようだった、どうやら。マリーはピーリスのほうみたいだった
「なぜ……? なぜ、きみが……!」

「ラッセ! 応答しろ、ラッセ!」
 GNアームズの残骸に通信を試みていた刹那を
「!」
 アラートと、ビームが襲った。すんでのところで回避したが、撃ったのは
「なに!?」
 破壊したはずのアルヴァトーレから現れた、またも黄金のMSだった。その名もアルヴァアロン
「な……あれは?」
 両手に持ったライフルの右側を捨て、サーベルを抜き放ち
「はああっ!」
 エクシアに斬りかかってくるアルヴァアロンの一撃を、刹那はGNソードで受けとめた
「さすがはオリジナルの太陽炉を持つ機体だ──未熟なパイロットでここまでわたしを苦しめるとは!」
 7基のドライヴを搭載していたいんちきMAに乗っていた男が、負けたのを機体のせいにした
「きさまか! イオリアの計画を歪めたのは!」
「計画どおりさ!」
「くっ」
「ただ主役がわたしになっただけのこと……そうさ、主役はこの、アレハンドロ・コーナーだ!」
 エクシアを蹴りとばし、ビームの応酬をくりひろげながら、アレハンドロと刹那の会話はつづく
「なにが……望みだ!?」
「破壊と再生だ」
「なに!?」
「ソレスタルビーイングの武力介入により世界は滅び、統一という再生がはじまった……
 そしてわたしはその世界を、わたし色に染めあげる!」
 つまり世界を金ぴかにしようというのだ
 おそろしい計画だった
 刹那はなんとゆうきょだいなてきとたたかわねばならないのだろうか
「支配しようというのか!?」
「正しく導くと言った! だが、その新しい世界に……きみの居場所はない!」
 MA形態のときに匹敵する大出力のビームをチャージする金色のMS
「塵芥となりはてろ! エクシア!」
 ビームを放出したあと、アルヴァアロンの視界にエクシアは存在していなかった
「ふっ……ふふふふふふ……ふはははははは! 残念だったなイオリア・シュヘンベルグ!
 世界を統合し、人類を新たな時代へと誘うのは、このわたし……いまを生きる人間だ!」
 だが戦いは終わっていない。上方からの粒子ビームをアルヴァアロンのフィールドが弾く
「なっ、なに!? あ……あれは!?」
 撃ったのは、トランザムで超機動をかけるガンダムエクシアだった
「エクシア! イオリアのシステムか!?」
「見つけた」
「なに!?」
「見つけたぞ、世界の歪みを!
 きさまが……おまえがその元凶だ!」
「再生はすでにはじまっている! まだ破壊をつづけるか!!」
 アルヴァアロンも迎撃するが、もはや刹那の敵ではなかった
「むろんだ!」
 問題は、やつを護るGN粒子のスクリーンをいかに突破するかだけだ
「GNフィールド……くっ!」
 そのとき刹那は、エクシアを渡されたときロックオン・ストラトスが口にしたことを思いだす
『刹那、なぜエクシアに実体剣が装備されているか、わかるか?
 ……GNフィールドに対抗するためだ
 計画のなかには、対ガンダム戦も入っているのさ
 もしものときはお前が切り札になる……まかせたぜ、刹那』
(わかっている、ロックオン
 おれは戦うことしかできない破壊者……だから戦う!
 争いを生むものを倒すために、この歪みを破壊する!)
「きさまあ!」
「武力による戦争根絶」
 GNソードがフィールドを切り開き
「それこそが、ソレスタルビーイング!」
「フィールドが!?」
「ガンダムがそれをなす!」
 ありったけのセブンソードをたたきこみ
「おれと、ともに!」
 刹那・F・セイエイは──
「そうだ!」
 アルヴァアロンを撃破し
「おれが!!」
 アレハンドロ・コーナーを打倒した
おれたちが、ガンダムだ!!

「……リ……リボンズ……」
 致命的なダメージを負ったアルヴァアロンのコクピットで、アレハンドロに通信が入る
 かれのエンジェルだったはずの少年、リボンズ・アルマークである
『アレハンドロ・コーナー。あなたはいい道化でしたよ』
「なに……?」
『これはイオリア・シュヘンベルグの計画ではなく、ぼくの計画になっていたのさ』
「リ、リボンズ、きさま……!」
『統一された世界のゆくすえは、ぼくにまかせてもらうよ』
「きさまっ、コーナー一族の悲願を!」
 リボンズはそんなアレハンドロに、ため息まじりで
『そういうものいいだから、器量が小さいのさ』
 そんな小物なので、先日の総集編『天使たちの軌跡』でも完全に存在をカットされてました
「リボンズうう!!」
 アレハンドロが画面のリボンズを殴った拍子にアルヴァアロンは大爆発を起こし、宇宙の塵となった
「はあ……はあ! はあっ、はあ……!」
 トランザムも切れ、パイロットも疲労困憊なエクシアのコンピューターが、さいごの敵の接近を告げた
「! まだいるのか!!」
 同感です
「!? フラッグ? 擬似太陽炉を!?」
「会いたかった……会いたかったぞ、ガンダムっ!!」
 グラハム・エーカーに決まっていた
 そのフラッグは肩部に擬似GNドライヴを装着し、そして左手に携えているのは
「ビーム・サーベル!?」
『ハワードとダリルの仇、討たせてもらうぞ! このGNフラッグで!!』
「通信を!? あっ!!」
 画面に表示された顔には、刹那にも見おぼえがあった。アザディスタンで出会った親切な男だ
「きさまは!!」
「なんと、あのときの少年か!? やはりわたしときみは、運命の赤い糸で結ばれていたようだ
 そうだ──戦う運命にあった!!」
 トランザム後のパワーダウンもあってか、それともグラハムの力か
エクシアは左腕を斬りとばされた
「ようやく理解した──
 きみの圧倒的な性能に、わたしは心奪われた!
 この気持ち……まさしく愛だっ!!」
「愛……!?」
 かんべんしてくれと思う刹那
「だが愛を超越すれば、それは憎しみとなる!
 いきすぎた信仰が、内紛を誘発するように!!」
 まさかそうまとめるとは思わなかった。なんでまともな話してるふりするんだろうグラハムのくせに
「……それがわかっていながら、なぜ戦う!?」
 とりあえず話につきあうことにして、刹那はGNソードをふるい、フラッグの脚を斬った
「軍人に戦いの意味を問うとは! ナンセンスだな!」
 ビーム・サーベルの鋭い突きがエクシアの右目に突き刺さり、頭部がちぎれとんだ
「きさまは歪んでいるっ!」
 エクシアのソードがフラッグの首をはねとばす
「そうしたのはきみだ!」
 フラッグの右手が、エクシアのボディを殴り
「うっ!」
「ガンダムという存在だ!」
 フラッグが蹴りで、エクシアをよろめかせる
 エクシアはライフルモードで反撃するが、GNフラッグは超高機動で回避運動をとり──
「だからわたしはきみを倒す! 世界などどうでもいい、おのれの意志で!!」
 グラハムの口許が血で汚れていた。GNドライヴ搭載でGの問題は解消されたはずなので
たぶんいっしょうけんめいしゃべりすぎて舌をかんだんじゃないかな
「きさまだって……世界の一部だろうに!」
「ならばそれは、世界の声だ!」
 グラハムもひけない
 刹那もひけない
 たがいに譲れなければ、その剣を突き立てあうよりほかに、方法はない
「ちがう!! きさまはじぶんのエゴを押し通しているだけだ!
 ……きさまのその歪み、このおれが断ち切る!!」
「よく言った、ガンダムう!!」
「うわあああああああああ!!!」
「うおおおおおおおおおお!!!」
 たがいの剣が、たがいの機体のボディを貫き
「ハワード……ダリル……仇は──」
「ガ、ガンダム……」
 2機のMSは、爆発とGN粒子の光に消えた

「う、う……くうっ……! ここで、終わりではない…… 
 まだ、計画は継続している……!
 せめて、太陽炉を……」
 ガンダムナドレが、自機の搭載GNドライヴをパージし、射出した
「ナドレから、GNドライヴが……!」
「ティエリア……」
「……っ、これで、やっといける……あなたの許へ……ロックオン……」

「うっ、ああっ……! そんなっ……ソーマ・ピーリスが、マリーだったなんて……!」
 キュリオスのコクピットでは、アレルヤが傷の苦痛と、そしてショックに苦しんでいた
「知っていたのか、ハレルヤ!?」
(知ったら、お前はもう戦えねえ……死ぬだけだ)
「!」
(まあいいさ、どっちみちおなじだ、ふっはは……先にいってるぜ?)
「ハレルヤ……? まさか……そんな……ハレルヤ……」
 ハレルヤが、アレルヤの呼びかけに答えることは、なかった

 マリナ・イスマイール
 あなたがこれを読んでいるとき、おれはもうこの世には……
 武力による戦争の根絶
 ソレスタルビーイングが、戦うことしかできないおれに、戦う意味を教えてくれた
 あのときの、ガンダムのように
 おれは知りたかった
 なぜ、世界はこうも歪んでいるのか?
 その歪みは、どこから来ているのか?
 なぜ、ひとには無意識の悪意というものがあるのか?
 なぜ、その悪意に気づこうとしないのか?
 なぜ、人生すら狂わせる存在があるのか?
 なぜ、ひとは支配し、支配されるのか?
 なぜ傷つけあうのか?
 なのになぜ……ひとはこうも……生きようとするのか?
 おれは、求めていた
 あなたに会えば、答えてくれると考えた
 おれとちがう道で、おなじものを求めるあなたなら
 ひととひとがわかりあえる道を……その答えを
 おれは、求めつづけていたんだ……
 ガンダムとともに
 ガンダムと……ともに……


 手紙を届けたい相手がいない、と答えた刹那が、たったひとりに向けたメッセージ
「刹那……!」
 マリナ・イスマイールは、泣き崩れた



 そして、A.D.2312──4年後

 ルイス、ひさしぶりにメールを出します
 きみから返事が来なくなって、もう2年が経ちました
 でも、どうしても伝えたいことがあったから
 ぼく、今年から宇宙で働くことになったんだ
 悲しいことがたくさんあったけど
 でも、小さな夢を、ひとつだけかなえたよ
 だから、もうひとつの夢をかなえさせてほしい
 待ってるよ、ルイス
 宇宙そらで待ってるから


 沙慈・クロスロードが宇宙から地球をながめていたそのとき
「あっ、あれは……」
「ありゃあ、GN粒子の光か? どこの機体だ?」
「あれは、連邦のものじゃない……」
「えっ?」
「粒子の色がちがうよ」
「あ、ああ、たしかに……」

(あの光……そう、あの光は……ガンダム!)

 ♪ジャンジャジャーン ジャンジャンジャージャジャーンジャージャージャーン
「国際連合が、地球連邦に改名して1年」
 ネェーッコンーナァー カタチノォデァーイシィカー ナカーァタァーノォー カナッシーィーンネァー
「われわれは、連邦参加国全328箇国の賛同を得て、各国の軍隊を解体、一元化し、地球連邦平和維持軍として発足することをここに宣言します」
 アァーンナタァーニィー シンデモゥーアァヤメッテー ホシィクモォナァーィ オネッガァーッァーイ
「すべての国の軍がなくなり、わが平和維持軍が世界唯一の軍隊となったとき、世界は、真の統一を果たすことになるでしょう」
 ンーメーイサーェ ノゥミコォーマァーレー シズミソーッオゥナー ンーミィイトォジャラッジャッジャラ
「その道しるべとなるべく、われわれは邁進していく所存です」
 ネガイヨォーカーゼェニノッテェー ヨアケェーノゥカァネヲォーウナァラッセヨォー
「これで世界は変わったのですか、お嬢さま?」
 トリノヨーオーニィー マエッシサバーデズエィスペェーイ
「さあ」
「いまの世界は、お気に召しませんか?」
 ムスウノォナーミィヲコーエェーイ アスエッタァーチィムカウーアァナァタウォウー
「期待はしているわ。世界が変わっていくことを」
 マムリターマーエェーイ マラファトゥディッフォーヨォーペー
「はじまるよ、イノヴェイター。人類の未来が」
 フリムカァドゥーハァーバタァケェーイ
「ぷはあ……ええい……」
 コノオモゥイィーオゥハカンデェーイ アヌソラオゥートンデェークゥー
「ふっ……」
 ニガイワァーダァーレェーニモー ウチオトッセッナァーイ

 世界は変わった
 地球連邦には、セルゲイやカティ、そしてコーラサワーの元気な姿もあった
 王留美とともに世界の変化を見守る、ネーナ・トリニティ
 マリナ王女のもとから、シーリン・バフティヤールは去り
 いまだ正体のわからない、リボンズが革新者イノヴェイターと呼ぶ、かれをふくめた謎の6人
 そして仮面をつけた謎のグラハム……
 いらだちを隠しもせず酒をあおる、アリー・アル・サーシェス
 ルイス・ハレヴィを連れほくそえむ、ティエリアに瓜二つの人物──リジェネ・レジェッタ
 沙慈は見えない未来を知るよしもなく、ただ地球と、そしてガンダムの放った光を見つめていた

 そして……新たな世界でも、ソレスタルビーイングは消えてはいない。隠しドックでイアンが王留美を迎える
「ご足労だったなあ、お嬢さま?」
「状況はいかがですか?」
「1機めはロールアウトした。いまは実戦に向けてのテストに出払っている」
「ほかの機体は?」
「予定どおり、順次ロールアウトする予定だ」
「よかったら、見せてくださらない? 第1世代の機体を」
「ん? 了ぅ解!」
「これが、オーガンダム……初めて太陽炉を積んで、稼動した機体……」
「太陽炉は取りはずして、すでに機体に装着してある
 だが、こいつを使ってもマッチしなかった……エクシアの太陽炉でも、うまくいくかどうか」
「世界を変える機体──」

 ダブルオー・ガンダム

 Mission Incomplete



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