■100217
フルスクラッチ4人衆■
ひとびとの住まう地よりはるか北に存在する峻険なる大山脈、その上空高くに浮かぶ『かけら』とだけ呼ばれる空間において、4人の黒衣の女たちが暮らしているという。ときに人間をやさしく見守り、きびしく監視し、だらけて放置し、気まぐれちょっかいを出してきたかのじょたちは知っていた──この世の変遷を。
「いや、べつにあれだぜ、完全不干渉の時期が長かったのは、ほっといたらどのくらい世のなかが変わるのか知っておかなきゃいけないなあと思ったまでだぜ。めんどくさかったわけじゃない」
『槍の女』レヴァンズはくわえていたきせるを口から解放し、ぷはりと煙を吹きながら、どう聴いてもめんどうがっている口調で告げる。生理年齢は人間換算25歳、束ねた赤毛と長身がトレード・マーク。
「なにもかもに干渉するわけにいかねえだろ。じゃあなににも干渉しないのがフェアってもんだ」
「あなたはひとを生まじめ生まじめとからかいますけれど、じぶんこそたいがいですよね」
『二刀の少女』ココットはくすくす笑い。ボブ・カットに眼鏡をかけた実直そうなきびきびした態度にしては、人間換算で16歳と若い外見だ。
「まあ、地上のみなさんには及びませんけど。『兵』だなんて、どこから拾ってきたんでしょう、あんな発想」
「そりゃもちろんゲカイのモグリのぶらっくじゃぁーっくじゃない」
『妖精の子』フェレルは11〜2歳ばかりのほっそりした満身にあらんかぎりの脱力を傾けて、だれれーんと地面に溶けんばかりに寝そべっている。
「ほかのせかいからデンパJUST INするのはぼくたちのトクセイレイカードだからにゃっはーい」
「しかり」
『素手の娘』ヴォルコーセンが腕組みしたまま首肯。人間換算19相応の中庸な胸を二の腕で挟むことにより強調しているが、そんな自覚はまったくない。哀しげに、しかしこの地の真実すべてを透徹するような達観を視線にこめて、眼下の世界を睥睨する。
「すべての概念があいまいあやふや放蕩流離、それこそこの世界の真理。日の傾けば心変われり。いとはかなきは記憶の光」
そのとおりだ、とレヴァンズは考える。考えて、思ったままを口にした。
「ほんとはかないよな、真実の記憶なんてのは。
『この世界は時間からも空間からも自由で、意味を喪えばわれわれは消滅する』
『この世界はネットワーク・ゲームで、われわれはアバターにすぎず、操っているリアルが上位構造に存在している』
『この世界はかつて外界と呼ばれた人間たちの営みを再現するため超時空間位相に配置されたエミュレーター』
『この世界もじつはなんども滅びていて、幾周めかのループにより最悪の事態を避けるための渦中にある』
『そもそもわれわれこそが外界を脅かすべく遣わされるため、目下生産中のモンストラムなのだ』
『大戦争によって人類は滅び去り、代わりに文明を維持すべく人工物であるわれら兵たちに文化を享受する役目も担わされた』
流行りすたりにすぎないくせに、どの時代のどの観念も同等にばかばかしく、涙が出るほど殊勝なもんばかりだ。なんでだろうな?」
きせるをくわえるタイミングを決めあぐねながら、レヴァンズはそこまでを語りきった。
そんなものあたりまえだ、と言わんばかりにココットの回答は簡潔至極。
「たたかいたいからです」
んむ、としたり顔でフェレルもうなずいた。
「そのときそのときで、ZEN ROCKをださないといけないアITEッはちがうからにえ」
にひ、とヴォルコーセンが歯を見せて笑う。
「みなの願いはひとつきり。いま生きている時代がいちばんすてきであり、いちばん闘うかいもあり。そんなふうに思っていたいという自明な利己的心理。だれだってわがままでいたくもあり、そのわがままが通るのはだれかに与えられた権利、そんなふうに思うより、自力で勝ち獲り、手にしたものと思いたいのが摂理」
はあっ、とレヴァンズはもういちど嘆息し、そしてやっときせるをくわえなおす。
「……だから、おれたちも、もうすこしわがままにやっていかなきゃいけないんだな」
かのじょたちの願いはただひとつ。
好きな世界を生きていく。
それまでは、どれだけ年月を重ねようとも妥協するつもりは、ひとつも、ない。
ケモノと思われさげすまれ、気高く誇らしくさみしげに、かけらのなかから世界を見守る。
かてずをしのび、かたずをのんで。
■100114
ひとまずトップ整理■
・まじで管理人はトップ縦にだらーんと伸ばすクセをなんとかしろ
└コージャNIGHTオチつかないとか?
└散らかってるほうがものを取りやすいんだよ! とか言ってるだめなひとみたいな?
├だめなんてことなかりけりー、とっても合理ー
└オチてるのそれ? オチてなくてもいいけど
■これ以前の更新履歴など